火葬が終わった遺骨を分けることを分骨(ぶんこつ)と言います。実際お住まいの地域とは別に、実家など違う場所にあるお墓にも納骨したいときに分骨をします。 分骨するには、分けたお骨を入れる容器と分骨証明書が必要です。容器は葬儀屋に言えば用意してくれますし、分骨証明書は火葬場で発行してくれます。いずれも当日ではなく事前から言っておくと手続きがスムーズです。 私などは骨を分けるというとなんとなく身体が離れてしまうイメージがありますが、分骨を希望されるご家族も度々いらっしゃいます。「古事記」や「日本書紀」には “殯(もがり)” という言葉が出てきます。これは日本の古代に行われていた葬儀儀礼で、死者を本葬するまでのかなり長い期間、棺に遺体を仮安置し、別れを惜しみ、死者の霊魂を畏れ、かつ慰め、死者の復活を願いつつも遺体の腐敗・白骨化などの物理的変化を確認することにより、死者の最終的な「死」を確認すること(ウィキペディアより)。殯によって日本人は、死を受け止め、向き合い、乗り越えてきたのでしょう。白骨化するまで見届けるとは、それだけ時間がかかるということです。すぐに忘れるなんてできっこありません。 人それぞれの“死との向き合い”があります。歳をとったり、重い病気になったりすれば死のことを考えるでしょうが、普段から考えておいて何も悪いことはありません。一番してはいけないのは死を見ないこととしたり、死を覆い隠すことです。若い親はすぐおじいちゃんやおばあちゃんの亡骸から子供を離そうとします。その子は人生最高の「社会勉強の機会」を失います。葬儀は命を学ぶ最良の機会なのです。 かつては戦争や飢饉があり、“死”は身近なものとして存在しました。それらは遠い存在となり、いきなり“死”というものが不慮の事故や思いもがけない自然災害などで降り掛かって来るのです。死に対する免疫が出来ていないのです。死から逃れることは誰一人としてできないのに。。 事故や災害で亡くなる人を思えば、家族に見守られて亡くなることがいかに幸せかが分かるのです。
誰も書かなかった葬儀のお話・・『分骨&死への向き合い方編』
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