皆さんは
〝のど仏〟
という言葉、たまに聞くと思います。
〝のど仏〟
とはウィキペディアでは・・
 
『喉仏(のどぼとけ). 喉頭隆起 – 首の前方にある甲状軟骨による突起。 軸椎 – 人が結跏趺坐する姿のように見える、首の背骨を構成する骨』
 
となっています。
のど仏、とは実はのどではなく首の骨の一部です。火葬が終わり、骨となって火葬炉から出てきたときに、のど仏があれば火葬場係員さんが見つけて取っておいてくれます。
お坊さんが手を合わせた状態でいるような格好なことから
『のど仏』
と呼ばれていますが、のど仏は完全な姿で出てくることは珍しく、大抵は首の部分が取れていたり、腕の部分が欠けてしまったり・・結構ボロボロになってしまうことが多い。
 
収骨(お骨を拾って骨壷に入れること)の際、
「のど仏はどこ?のど仏は出た?」
とやたら騒ぐおばさんがたまにいることは、以前このブログに書きましたが先日、この『のど仏』が完全な格好で出てきたおばあちゃんがいらっしゃいました。
 
・・・・・
 
横浜のとある火葬場でのお話。
「収骨です」
と呼ばれ、私はご家族を収骨室へ案内しました。なんとなく骨を集める係員さんがざわついているのがわかりました。
私はすぐ
「出たな・・・」
と察します。のど仏が出た、という意味です。期待感が一気に増します。
集められたお骨を見てびっくり!!
それは欠ける事の無い完璧な『のど仏』でした。
しかも事態はそれだけでは終わりません。
のど仏は二番目の骨と言われているのですが、その上の骨がちょうど『お袈裟』のように輪の形をしていて、それも綺麗に出たのです。つまり『のど仏』も『お袈裟』も綺麗に出たのです。これは非常に珍しい事です。
 
私も20数年この業界にいますが、多分ナンバーワンのど仏&お袈裟のそろい踏みです。係員さんも大コーフンで
「これはそう滅多に見られませんっ!!」
と、そのことをご家族に伝えていました。
ご家族は
「はあ、そうなんですか・・」
という感じでしたが、業界人としては写真にでも撮って置きたいくらいの(勿論撮りませんが)出来事でした。
生前に徳を積まれると出ると言われる『のど仏』ですが、とかく脆い部分であることに間違いありません。火葬炉から出され、収骨棒で集められるときに壊れる可能性だってある訳です。
 
のど仏が綺麗に出ても出なくても
「ああ、よくガンバってくれてたもんなー」
「本当にありがとうございました」
なんて思われるような、そんな人生を歩みたいものです。
しかし見事な『のど仏』&『お袈裟』でした。お見せできないのが残念です・・・
誰も書かなかった葬儀のお話 『のど仏』・・編