4bn1ab208a5fa1v8pn_800C450.jpg
2001年9月11日にアメリカで同時多発テロが起きました。死者3025人、負傷者6291人以上と言われる未曾有の大事件でした。
当時、葬儀社仲間と
「怖いね〜まるで映画みたい」
と話したのを鮮明に覚えています。
ニューヨークの世界貿易ビルに、飛行機が飛び込む映像が頻繁に流されかなりの衝撃でしたが、ある時を機にパタッと流れなくなったのも不思議でした。
救出に命を懸けた消防士の美談があったり、テロの背景に様々な憶測が流れました。
 
葬儀屋目線として、まず3000人の死者を入れられる柩がどこにあるのか?移送する車両はどうしたのだろうと思います。そこいらじゅうに緊急車両があったでしょうし、道路は封鎖または規制されているでしょう。もし移送出来たとしても、広大な保管する場所が必要です。アメリカは広いからなんとかなるのでしょうか?
 
東日本大震災を描いた2013年の日本映画『遺体〜明日への十日間〜』のなかで、緒方直人扮する葬儀屋が警察から
「柩を2000本用意して欲しい」
と言われ、言葉を失う場面がありました。
ご覧になった方は“2000人もの方が亡くなったのか・・”と思うのでしょうが、葬儀屋目線では
 
「それだけの柩をどうやって調達するのか?」
「どうやって運ぶ?」
「◯和木工にどれだけ在庫はあるのか?」
 
を瞬時に考えてしまいました。街の葬儀社に常備する柩のストックは5〜6本、多くても10数本でしょう。お柩は場所をかなり取りますのでそんなに置いておけません。2000本というのがどれほどの数か・・
 
葬儀を出された方/近親者で不幸があった方はお分かりでしょうが、一人の人間が亡くなっただけでもうてんやわんやです。体力的にもそうですが、とにかく精神的に参ってしまうのです。
それをどれだけサポート出来るかが葬儀屋の技量なのですが、2000人・3000人それ以上となると、まったく想像がつきません。もちろん一社だけで請け負うことではないでしょうが、大変な苦労があったのだと思います。
 
平和な何気ない日々が、実はどれだけ幸せか・・それを噛みしめて今日も一日生きたいと思います。
*友引毎に更新
 
誰も書かなかった葬儀のお話・・『柩の数のはなし』編