葬儀屋にとって大事な仕事は
“万が一の際に連絡を受けたらすぐに飛んでいくこと”
ですが、万が一に備えて事前に相談を受ける
“事前相談”
も受けます。
事前相談は、お客様の家だったりどこか別の場所(喫茶店やファミレス)だったりします。概要を伺ったあと、葬儀に至る道筋をお話ししていくのですが、お客様は初めて聴く内容ばかりですので感心しきり。写真やハンコが必要なこと、安置場所を考えておくこと、初めに必要な書類や経費などです。
打ち合わせと納棺(=故人を棺にお入れすること)はどれだけ丁寧にやってもし過ぎることはない、というのが信条です。
 
私はお客様と会うときは、腹ぺこでは行きません。何かお腹に入れてから向かいます。腹ぺこだとどうも力が入りません。事前相談はそれほどでもないのですが、葬儀の内容を決めていく見積もりの段階では、ある意味お客様との「我慢比べ」的な要素があるからです。
 
時に結構無茶ぶりをされるお客様がいます。金額面だったり演出面だったり、過剰なサービスを求められたり・・・出来ることならやりますが、安易にやれると言って質が伴っていないと失望されてしまいます。理路整然と「それは出来ない」と言うときもあります。瞬時に判断しないといけないことがあるのです。
 
お腹が減っているとどうしても早く終らそうという回路が働くので、提案力や発想力がガクッと落ちます。あとで
「ああ、これも言わなきゃだった」
「こんな提案も出来たのに・・」
ということもしばしば。お客様に再度説明する、なんて事態になります。
打ち合わせの前、パンや中華まんをささっとお腹に入れてからお客様の元へ向かいます。満腹にしたら眠くなるので(笑)、少し入れるくらいが良いです。飴玉も効果があります。打ち合わせだけでもかなり体力を消耗するので、エネルギーをすぐに供給してくれます。
 
なんだかんだ言って、人間って体力です。体力こそが生命力なのです。
*友引毎に更新
誰も書かなかった葬儀のお話・・『打ち合わせと腹ぺこのはなし』編