公営火葬場とは市や区などで建設・管理されている斎場です。
東京23区内ですと臨海斎場(大田区)や瑞江葬儀所(江戸川区)があります。川崎市も二ヶ所、横浜市には四ヶ所公営火葬場が有ります。
公営火葬場は時間の遅刻が許されません。民営の火葬場が遅刻してよい訳ではありませんが、比較的緩やかです。
遅刻とはこの場合、火葬の予約をしてある時間にお柩がまだ火葬場に到着しないことを言います。来るはずの時間に到着しないと、先に到着した別のお柩が火葬炉に入ります(これを業界用語で“釜落ち”と呼びます)。予約の火葬炉から“落ちて”しまうのです。
もし釜落ちするとその後待たされるので、予定がどんどんずれ込みます。担当は火葬場側からこっぴどく叱られますし、場合によっては始末書を書かされます。ある意味、葬儀担当として失格の烙印を押されてしまうのです。
 
大事な方の最期ですから、ゆっくりお別れしていただきたいのは山々なのですが、そういう事情もあって出棺時の葬儀担当は時間にピリピリするのです。私も
「絶対に◯◯分に柩を出すっ!!」
と人知れず目標を定め、鋼鉄の意志でスタッフに指示を出して自分もそのように動きます(結局最後は何でも“気持ち”です)
目標の時間通りに霊柩車や自家用車、マイクロバスなどがすーっと綺麗に出せた瞬間は、とても気持ちが良いです。担当冥利に尽きます。
 
万が一出棺が遅れた場合は、火葬場にその旨必ず連絡対応します。しかしできる限り釜落ちはしたくないので、時間通りに出棺しようと努力します。
たまに出発間際になって「火葬場へ行く・行かない」を議論される方がいますが、後々の予定もあるので早めに決めてもらえたらと思います。
皆さんの想像以上に葬儀は「時間」で動いていますので、ご理解いただけたら幸いです。
*友引毎に更新
誰も書かなかった葬儀のお話・・『公営火葬場の釜落ちの話』編