葬儀は葬儀屋だけいれば出来るものではありません。主だったところではお花屋さん、料理屋さん、お返し物屋さん、霊柩車やハイヤーやバスの車両関係・・・故人のお顔をお直しするメイクさんもいるし着物を借りれば衣装屋さんもいます。
撮影を頼めば写真屋さんが来るし、いろんな方々の協力で一つの葬儀が形作られます。
最近あまり見ませんが昔、“放鳥”(ほうちょう)といって、出棺と同時に数十羽のハトを空に放す儀式がありました。魂が空へ帰るという意味なのでしょう、霊柩車が出発するとハトが一斉に空に飛び立ちました。あれもハトを飼う業者さんに頼むのでしょう。ハトはきちんと巣へ帰るように仕込まれています。なかなか味のある演出です。
最近は葬儀にあまり人がこなくなり、葬儀自体がコンパクトになりました。私の父の葬儀の時は、遠い場所での式にも関わらず友人が数人来てくれて、父の思い出を話してくれました。そういうことで気持ちが和むこともあります。来てくれる人は多少遠くても来てくれます。
ある程度歳をとると、
「会うのは結婚式か葬式か」
みたいになってきます。つまり葬儀は人と人が会う希少な機会なのです。亡くなった方を知らなくても、その家族には会いたいのかもしれない。逆に家族は全く知らなくても、故人に対してお別れを言いたい人がいるのかもしれません。
参列をまったく遠慮するのもどうなのでしょうか・・。
そういう意味でも、生きているうちに葬儀について家族間で話しておくのは、私は悪いことではないと思っています。
誰も書かなかった葬儀のお話『葬儀の関係業者編』