ある方の葬儀の相談を事前受けました。奥様が危篤とのこと。アポイントをとり、ご自宅にお邪魔しました。 「写真が必要です。なるべくはっきり写っていて大きなものが良いです。役所への書類提出時に必要なのでシャチハタ以外の印鑑をお借りします。万が一の時は・・かかるお金は・・」お話を伺いながら流れを丁寧に説明させていただきました。 するとご主人は 「とても葬儀をリアルに感じるようになりました。源川さん、ありがとうございます」 とおっしゃいました。 奥様のために出来るだけのことをしたい、メイクはしてあげたい、あまり派手でなく身内だけで見送りたい・・そのために話を聴きたかったとご主人。ポツリポツリと奥様のことを話してくださいました。奥様への想いがあふれていました。遅い時間のお約束だったのですが、後で考えると病院の面会時間終了後だからあの時間だったのかもしれません。最初「そんな時間に相談かあ・・」と思った自分が恥ずかしくなりました。回復も祈りつつ、でもそれも叶わないのかな、とも思いつつご自宅をあとにしました。 翌日、奥様は逝去されました。数日後に葬儀が行われて私ももちろんお手伝いさせていただきました。提案も幾つか差し上げてできるだけご主人の意向に添うようにしました。本当はもう少しゆっくりお別れをしていただきたかったのですが、公営の斎場だったので時間の融通が利きませんでした。それが唯一の心残りといえばそうなのですが、葬儀後ご主人は「本当にいい葬儀でした。妻も喜んでいると思います」とおっしゃいました。ホッとしました。 葬祭業というのは、人の人生に関係している職業なんだなと、改めて思いました。今回の葬儀は私のキャリアの転換になる気がします。相談から関わったのでそれだけ深く考えましたし、ご主人やお寺様ともいろいろ話を伺いました。すべての行動に“念”を入れました。いただく金額は同じでも、思いだけでこれだけのものが出来ると自信にもなりました。 奥様はきっと浄土で見守ってくださいます。そしていつか必ず会えます。ご主人様、ご家族様、どうぞお身体お大事に。ご住職、またお寺に顔出しますね。お話聴かせてください。 葬儀は悲しいことではあるけれど、でもきっとそれだけでは・・ない。
事前相談