“ 院内業者”
=“インナイギョウシャ”
と読みます。
我々葬祭業者の間では、病院と連携している葬儀屋のことを指します。通称は“インナイ”。大きな病院などでは、亡くなった方をそんなに長く病院にいさせられないので(次の患者さんが控えているので)、なるべくスピーディーに故人を搬送する必要があります。そのため担当葬儀屋が控えていて、病棟から霊安室へお身体を移すのを手伝うのです。
ここで
「どこかお知り合いの葬儀屋さんはいらっしゃいますか?」
とインナイは訊きます。葬儀屋さんの知り合いはいないと応えると
「もし良ければ弊社でお手伝い致しますが・・」
と営業活動?に入ります。
インナイの良いところは、それこそ早いことです。もう目の前にいるのですから。寝台車の手配も早いし、家に帰れるのも早い。ただそこで値段は全く分かりません。「ここで見積もりして」というのもなかなか出来ないと思います。病院はいつまでも亡くなった方を置いてはくれません。
ご家族は大事な人を亡くし呆然としているところに、短時間での決断を迫られます。院内業者に任せて、その後見積もりを出してもらったら思ってたより遥かに予算が超えた、なんてケースも後を絶えません。その時には手配が進んでいるので、キャンセルするにもある程度の金額が発生すると思われます。
最近みなさんはスマホをお持ちなので、そこから慌ててスマホで調べて葬儀屋さんを探す方も増えています。そこで良い葬儀屋さんを探せれば良いのですが、どんな業者が来るのかは、来るまで分かりません。
私はいずれは必ずお世話になるのだから、勉強のつもりで前もって葬儀屋さんに話を聞いておくべきとよく言います。良い葬儀屋さんなら万が一の際の流れや用意するもの、おおよその金額まで説明してくれると思います。(結婚式は前もって話を聞くのに、どうして葬儀は聞かれないのでしょう??)
私が前もって話をさせていただいたあるご家族の話。入院中の方が亡くなられて夜中に私が迎えに行ったら、相談者のその方に「源川さんが来てくれた〜」と泣かれたことがあります。真夜中の病院がどれだけ心細いか、不安かが想像できるでしょう。(夜中の病院・・とっても怖いですヨ。。)
私は死んだことが無いので死んだ人の気持ちは分かりませんが(当たり前ですが)、人が亡くなるというのは想像以上に心労があります。何年も入院して亡くなる方もいれば、事件や事故で急に亡くなる方もいて、なかには大きく取り乱す方もいらっしゃいます。ただ、あまりに騒ぎすぎるのは、故人様は望んでいないと私は思います。
インナイで頼むか、前もって葬儀屋さんを当たっておくか・・みなさん次第なのです。
誰も書かなかった葬儀のお話『インナイ編』