当アルバムで一番聴いて欲しい歌で、CDの5曲目に収録されています。 当初はほかの曲が予定されていましたが、あまりの曲の良さにプロデューサーが急遽収録を決めました。 作詞のあべじゅんさんは福島県郡山市在住のシンガーソングライターです。震災前にあべさんに「“がんばれ”という言葉は受け止める側に重い場合がある。がんばってと言わない、がんばれの歌は書けないか」と提案したところ、まもなくこの詞が届きました。曲もすぐ付けてあべさんに聞いてもらったら、あまりの出来にびっくり。それからひと月後、震災が起こりました。あべさんは言います。これはいま現在(2011年7月)の福島県民の想いであると。
「がんばって」って言わないで ずっとがんばっている
無邪気な棘が疲れた身体 貫くから
夫が倒れたあの日から ここまでがんばってきた
夫は寝たきり 働かなければ
食べられない 支払えない
医療費 サービス利用料 女一人の稼ぎなど
たかが知れているけれど 働いて 働いて 働いて
誰かの腕の中で泣けたなら 肩にもたれて休めたら
でも私は一人 洗い物しながら
水の音に紛れて泣いている
「がんばって」って言わないで これが精一杯
何気なく言ったその言葉が 私には重いのです
(あべじゅん作詞『「がんばって」って言わないで』より)
これは間違いなく介護の現実を歌っていますが、そのメッセージは介護に留まらないと思っています。とても優しい歌が出来たと、作者ながら実感しています。
収録曲せれなあで(5)『「がんばって」って言わないで』