今回は少々重たい話。
前も書きましたが、家のお風呂場やトイレで亡くなる方がいます。家人がそれを見つけて慌てて救急車を呼びます。すでにこと切れている場合、救急隊員は何もすることができず、警察が呼ばれることになります。 警察は事件性が無いかを調べる為に、家人の聞き取りを行いホトケ様の身体の状態を調べます。 急死の場合は病院などでの治療歴がないために、大抵は“変死”という扱いとなって、監察医務院や警察の嘱託医によって検案が行なわれ、“死亡検案書”という書類が書かれます。 ある老婦人が風呂場で倒れ、3時間ほどたってから家人に発見されました。救急車が呼ばれましたが、すでにこと切れていたので、警察が来て調べられたそうです。 2013年より施行されている「死因身元調査法」という法律に基づき、死因調査解剖という検査が行なわれています。これは、事件などに巻き込まれていながら病死や自殺などとされる事態を防ぐために、事件性の見当たらない死因の不明な遺体について、医師の意見も踏まえて警察署長が必要と判断すれば、遺族に事前説明をした上で、承諾が無くても解剖出来るというものです。(我々はこれを“権限解剖”と呼んでいます) ・・ん〜〜〜 慎重に調べるってのは分かりますが、あまりにも家族の心情とはかけ離れている気がします。今回の老婦人も丸二日間、家に戻ってきませんでした。ご家族は心配しまくりの疲れまくりでしたし、葬儀の打ち合わせも一切進みません。大正生まれで90も優に過ぎたおばあちゃんですよ。申し訳ないけど、・・遠からず亡くなるでしょうよ。見ず知らずの安置場所で寝かされて面会も許されず、嘱託医まで搬送されて解剖されて、縫合されてやっと三日目に家に帰って来ました。この保管代や搬送費も解剖の費用もすべて家族が払うんですよ。どーなの、この制度(涙) 都内はこの搬送費や検案代は無料なのでまだ良い(良くもないですが)ですが、神奈川県は全額家族負担(しかもなかなかの金額)です。前々から?マークが付きまくりの制度でしたが、“権限解剖”が行なわれるようになってから、その?感は増しています。 私なりに解決策(っぽい考え)をまとめました・・ 1)掛かり付け医師を探す/出会う 2)たとえ救急車を呼ばれても、病院に着くまでは死なない 3)とりあえず神奈川県には住まない 1)・・言うまでもなく、一番確実で最良の方法。要は死亡診断書を書いてくれる方と出会っておくこと。万が一の際は家族や隣人にその医師を呼んでもらうようにします。亡くなっているのに救急車を呼ぶと上記のようなことになります。 2)・・これには屈強な精神力と体力が要るでしょうし、強運も必要です。私自身こういう状況になったことが無いので、想像するほかありません。しかし病院に着きさえすれば、医師が最善を尽くして下さいます。これには頭が下がります。 3)・・説明不要。私はこれだけはクリアしています。 とにかく、トラブルを避けたいなら家で亡くなってはいけません。亡くなるのなら、掛かり付け医を探すこと、これに尽きます。元気なことは結構なのですが、 「まさか」 ということは往々にしてあります。地震や津波や子供の夜遊びの心配とともに、掛かり付け医の心配もしましょう。 私も60になったら掛かり付け医を探します。 *友引毎に更新
誰も書かなかった葬儀のお話 ・・『権限解剖』編