ラジオでこの本の存在を聞いて驚きました。
「葬儀が自分でやれるのか??」
何せDo It Yourself葬儀、ですからね。
 
どんなものかと思い、早速購入。
ページを開くまでは
「何書かれてるのだろう?」
と、ちょっと怖かったのですが、読みやすいしよく調べてあります。
数字も(当たり前ですが)最近のものを使っているので、今の時代性をかなり反映しています。
 
著者本人が身内の葬儀の時に、納得がいかないものだったらしく、その体験からこれを書こうと思ったそうです。
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一般的?な葬儀暴露本ではなく、実際にご遺体の搬送から保管の仕方、火葬場のことやお寺さんなどの宗教者のこともかなり実務的に書かれています。
 
職業としてる私からしたら難しいことはないのですが、一般の方には、葬儀のDIYはかなりハードルは高いでしょうね。
 
印象でいうと、DIYで葬儀をやるということは、趣味でそば打ちをやってる方と、料金をいただいてそばを出してるお店ほどの違いはあるでしょう。
そこに〝感動〟だとか〝充実感〟などはないと思います。ただひたすらの〝やり遂げた感〟だけではないでしょうか。
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私も親族や友人たちが葬儀に参加することは否定しません。
むしろ湯灌や納棺、給仕や案内などの手伝いもどんどん参加して欲しいと思っています。
しかし、ご家族にはじっくり葬儀や故人に
『向かい合って』
もらいたいと、最近考えるようになりました。
 
うちの母が亡くなったその晩に、お通夜を慌ただしく行った反動もあり、今では一日でもいいので葬儀までの間に
「ぼーっとする日」
があるといいくらいに考えてます。
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「一週間も先なんですか?」
ご家族に言われても、胸を張って私は言います。
「一週間なんてあっという間です。それでも足りないくらいですよ」
 
葬儀が終わって喪主様が口を揃えておっしゃいます。
「一週間あってよかった」と。。
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家庭にはそれぞれ事情があるので一概には言えませんが、私は基本的にはゆっくり行うことを勧めます。
最低でも二日は間をおいて欲しいですね。1日は連絡や準備に、もう1日は故人と向き合う時間です。
お通夜をやらない家庭が増えましたが、私は基本1日葬には反対です。お通夜のあの時間が良いのです。故人っているでもない、いないでもない、不思議な〝物体〟です。それと一緒にいる時間が尊いと思います。
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悲しませないといけないと思うんです、家族を。きちんと泣いたり後悔させたり、考えさせてあげないといけない。
 
やっぱり人間って死ぬんです。誰でも。
そのことを教えてくれるんです。命が永遠じゃないことを先人が教えてくれるんです。
そんな大事なことをパパッとやったんじゃ、刻めません。
子供だって参加させて納棺したり焼香したり、お花入れをさせて学ばせてあげないといけない。
火や炭が危ないとか教えてあげるんです。
人が死んだら家族が泣くって見せてあげないといけない。
「悲しませたくないなー」とか、子供は勝手に感じますよ。
 
葬儀に子供を来させない『バカ親』がたまにいますが、私もそういう親を怒れる年齢になってきました。
(葬儀屋ってある程度の年齢が不可欠です)
私が担当なら、子供でもその場にいるのならどんどん納棺だって参加してもらいます。
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この『DIY葬儀』を読んで、どれだけの方が自分でやろうと思うのか・・参考にはなると思います。
 
私はもっと葬儀の演出法や思いもがけない飾り方とかが書いてあると思ったので、こういう内容でむしろ良かった。
私流の葬儀は私自身が作り出さねばならない、と強く思った次第です。
誰も書かなかった葬儀のお話 『DIY葬儀』・・編