葬儀開式の際には、司会者から
「厳粛な式ですので携帯電話・スマートホン・時計のアラームなど音の鳴るものは、鳴らない設定にお切り替えのご協力お願いします」
などのアナウンスをさせていただきます。大抵の方は
「そうね、止めなきゃ」
とご協力いただくのですが、なかにはぼーっとしているのか、聞いていないのか(多分後者です)切り忘れる方もいらっしゃいます。
 
これは本当にあった話です。
式場内に親族が座り、一般弔問客も席に着いて、お坊さんも入堂。司会者が開式の辞を述べ、いざ開式というときに、どこからか“マンボNo.5”の着信音が・・
どうやらどなたか着信音を切り忘れたようです。ざわつく式場内。ご家族は笑いたいのだけど笑うに笑えずこらえていましたが、式場の外にある受付係の方は大ウケ。自分の携帯電話が鳴っているのに気づいたお客様(おじいちゃんでした)がやっと止めてくれました。
きっと耳が遠いのでしょう、音量はフル全開。音楽に合わせてつい
「Uh!」
と言いたくなりました。
 
別の現場でしたが、お別れの儀が終わりいざ出棺!というときに、日曜日の夕方に流れる軽快なあの曲・・そうです、“笑点のテーマ”が流れた時はさすがに私も吹き出してしまいました。慌てて止めたお父さんの顔ったらありません。罪な着信音ですね。
 
お客様に案内している以上、開式前は二度三度と自分の携帯を確認します。私たちが鳴らす訳にはいかないのです。
そうして厳かに式が始まります。
*友引毎に更新
誰も書かなかった葬儀のお話 『着信音のはなし』・・編