“限界”

を辞書で引くと・・『これ以上あるいはこれより外には出られないというギリギリの範囲、境』とあります。よって“限界を超える”という言葉はおかしいのですが、限界を超える(超えざるを得ない)場面は人生で何度か訪れます。俗にいう、“火事場のクソ力”ってやつでしょうか?

全日本プロレスの三冠戦、王者・諏訪魔対挑戦者・秋山準戦がありました。パワーで上回る諏訪魔にテクニックの秋山が対抗します。終盤、諏訪魔選手がバックドロップを連発します。かえす秋山選手。必殺技ラストライドを敢行!これもカウント2でかえします。私は見ていて、これもう一発出したら決まりだな〜と思いました。しかし諏訪魔は出さない。出せないんですね、疲れて。スキを見た秋山がエクスプロイダーという、相手の肩と脚を決めて後方に投げる技を出します。今日四発目になるでしょうか。秋山は流れを変えるのも決めるのもこの技だと思っていたんでしょう。しかしカウント2。すかさずもう一発スターネスダストという、エクスプロイダーの改良版で落とす時に相手の後頭部がマットに刺さるような投げ方の技を出します。確かに諏訪魔選手の首がマットに突き刺さりました。レフリーのカウントを待つまでもなく、私は決まったと思いました。秋山選手の勝利でタイトル移動です。会場は歓喜の嵐・・

勝利者インタビューで秋山選手は、「あれで決まらなければ、先輩選手の技を出すつもりだった」と語ります。あそこで終わりでなかった訳です。この発言に私は感動しました。先の先、さらに先を考える。自分の技で足りなければ、なりふりなんか構っていられない。いまの日本に、そしていまの自分に足りないものを秋山選手が教えてくれた気がします。

たかがプロレス、されどプロレスなんです。あなどるなかれ!

たかがプロレス、されどプロレス