宮城県南三陸町の防災庁舎の解体が発表されています。

私はできれば遺して欲しいと思っています。ご遺族の中には壊して欲しいという方がいらっしゃるもう一方で、遺して欲しいという方もいる。

一緒にしてはいけないと思いますが、実際に防災庁舎を見て私は広島の原爆ドーム、長崎の浦上天主堂を想起しました。あれだけの建物が吹っ飛ばされる事実や原爆の脅威は言葉や映像(写真)では伝えられない/伝えきれない。人間はいつまでも生きられませんから、起こったことをリアルに伝えることは難しいのです。

私は原爆ドームや浦上天主堂を見てどんな理屈を聞くよりも「原爆っていけないな。戦争は起しちゃダメなんだな」と、スーッと入ってきました。これが本物のチカラ。何が問題だったのか、そして今後の課題/やるべきことは何なのか・・それを次世代に投げかけないといけない。あれを見て悲しい気持ちも必ずあると思います。とてもつらいでしょう。しかしこれからの宮城県、南三陸町に生きる人たちのために壊すのではない道に向かって欲しいと思うのです。

町長があげた解体の理由として、1)復興事業の妨げになる。2)保存費用の調達が難しい、の二点を上げています。1)に関しては、あの場所でなくてもかまわないので、移動してでも遺す手だてはないのかと思います。2)は国からの補助、そして寄付金で賄うのでしょう。そのためなら些少ながらお手伝いします。

釜石や石巻の打ち上げられた船舶も軒並み撤去されているので、早々簡単なことではないと思います。一応遺すことを希望する方に名前は書かせてもらいましたが、ここは首長の英断を期待するしかありません。(いまのところ11月中に慰霊祭が行われた後、年内に取り壊しの予定)

防災庁舎の解体