故人や喪主様、またはそのご家族が、ある会社やメーカー様と深い関係があった場合、葬儀もそのメーカーと関連した車両や飲料などを用意する場合があります。
例えば故人が長く『日産』様に勤められていたりすると、
「ハイヤーはすべて日産の車で」
というような手配をします。
 
先日私が担当の葬儀では、喪主様のご主人がサントリーにお勤めの関係で、飲料はすべてサントリーのもので統一しました。
料理屋さんでは違うメーカーのものを常時使っていたので、余ったらご家族に買っていただくという約束で、ビールとウーロン茶をケースごと購入してもらいました。
困ったのは火葬場での飲み物でした。基本は向こうのものを使わないとなので、どうしたものかと思案していると、料理屋さんが
「ビールとウーロン茶をそのまま向こうへ持って行きます」
と言ってくれました。ほっとしていると
「ウーロン茶は大丈夫だと思いますが、ビールが少し足りないかもしれません。もう1ケース買いますか」
と言われました。余ったら買ってくれるとは言っていただいていましたが、あまりに余っても申し訳ない気がして、結局私がポケットマネーでこのくらいあれば大丈夫だろうという量を買い足して、料理屋さんに渡しました。もし余れば自分で飲むかそのまま料理屋さんにあげればいいや、くらいの気持ちでした。
 
無事に葬儀も終わり、飲み物もうまく捌け、安心していたところ、後日料理屋さんから
「これはどうしましょうか」
と、大量の“なっちゃん”が届きました。自分でも買ったのを忘れていたのですが、私はジュースも必要だろうと“なっちゃん”を用意していました。なっちゃんはあまり減らなかったようで、結構丸々戻ってきました。自分で飲むのも大変なので、その日来てくれていた花屋さんと返礼屋さんに「飲んで」とお裾分けしました。
なっちゃん効果は意外と大きく
「実は好きなんですー」
「甘過ぎないからいいんです」
なんて声が聞けました。なっちゃん、恐るべし。。
 
この“なっちゃん効果”で、忘れられない葬儀がまたひとつ増えました。で、私も毎日なっちゃん飲んでます。。
誰も書かなかった葬儀のお話・・『銘柄指定』編