誰も書かなかった葬儀のお話 『泊まり編』 私たち葬儀屋が言う“泊まり”とは、カノジョやカレシの家に泊まることではありません笑。 いつ誰が亡くなってもすぐ急行すべく、待機することです。待機中は基本的に何をしてもよいですが、お酒だけは飲めません。 中には30分以内に向かわなくてはならない場所もあるので、ダラダラと準備をしていては遅れてしまいます。パッと顔を洗いひげを剃ってババッとスーツを着て出かけます。 こちらはいま連絡を受けて出かけるのですが、ご家族はその何時間も前から大事な方の見送りに立ち会ったり、悲しみに直面しています。あの時間の長さはきっと体験したものでないと分かりません(というか、体験していても分からないと思います)
待機中はだいたいテレビを見たり、本を読んだりパソコンやスマホをいじったり・・自宅で待機ができればよいですが、会社などで用意された待機場所にいる場合は、やることが限られてきます。 夕食や朝食、大きめのペットボトルやおやつ?を買い込んだりして待機に備えます。葬儀屋は営業活動ができないので、いつ誰がどこで亡くなるかは神(いや、仏か?)のみぞ知るところです。 「危ない」「危篤」なんて言われると、三日間は緊張して待っていますが、それを過ぎると普通モードに戻ります。あまりに長く緊張すると、良い仕事のパフォーマンスにならない気がします。 まだかまだかと待つのも嫌ですし、かといって仕事が無さ過ぎても干上がってしまいます。でも無いと困る職業だとも思います。 本当に葬儀屋って因果な商売です。
誰も書かなかった葬儀のお話『泊まり編』