どんな仕事でもそうだと思いますが「距離感」って大事だなあと思います。お客様相手の商売なら特にそうかなと。
葬儀でも、とってもとっても故人のことを想っているご家族がいるかと思えば、「葬儀なんて早く済ませたい」とあっさり考えている方もいらっしゃいます。
故人にとっても想いのあるご家族にこちらが淡白に接したら、それは良いサービスには繋がりませんし、逆にあっさりされている方に、良かれと思ってあれもこれもといろんな提案をしても、うざい葬儀屋にしか映りません。
 
相手がどんなことを考え、何を望んでいるかでこちらの出方を変えるべきだと思います。手を抜くという意味ではなく、ウェイトを置く部分を変えるということです。じっくりしっかり葬儀を行いたいというご家族には、葬儀の日程を少しずらして“時間”をかけたり、湯灌やラストメイクを勧めたり(とても綺麗になります)、お別れの方法もいろいろ提案します。
早く済ませたい、という方にはできるだけスピーディに進め、あまり湿っぽくならないようにし、葬儀後の手続きや整理などのお手伝いに力を注ぎます。
望んでいらっしゃるほうに重点を置くのです。
そのほうがお客様も楽だったり助かったりします。
こちらが良かれと思ってやることとお客様の望む事がズレていたら、それは感謝されません。
若いうちは「一生懸命やること」が絶対だと思うでしょう(私もそうでした)。しかしそれを感じてくれる方は一割もいません。多くの方は自分の事で精一杯、頭が一杯です。お客様がいる以上、相手のニーズや想いに応える、というのが最大の命題だと思うのです。
 
葬儀屋って、家族のそばにずっとそばにいてはいけないのです。かといって遠くに離れてもいけない。ひと声かければすぐ飛んで来られる距離がちょうどいい。
自分が遺族になれば分かります。葬儀屋がずっと近くにいるとうざいのです。べったりくっついてる葬儀屋はきっと身内に不幸がないのです。
また葬儀中、駐車場に停めてある自分の車に籠ってしまう葬儀屋も知っています。そんな所にいたらご家族に呼ばれてもパッと飛んで来られない。ただでさえご家族は不安でいっぱいなのです。一秒でも早く来る事でその不安を減らすことができるなら、安いものです。
 
いないけど、すぐそばにいる・・
そんな葬儀屋が理想です。
いないけど、いる話