末期の水とは亡くなった方の口を、水を含ませた脱脂綿などで潤してあげることをいいます。
元はお釈迦様が臨終の際に、お弟子さんたちが浄水を飲ませたことが由来です。
以前は亡くなる直前に家族親戚が行なっていましたが、最近は死後の納棺(お身体を棺に納めること)の際か、出棺の前に行なう場合が多いです。
 
元来はお水で行なうのですが、故人が
「コーラが好き」「このお酒が好き」
などお好みがあるならば、私はそれで末期の水を差し上げます。末期の水は脱脂綿で口を少し潤すだけなのですが、たまに
「お前の好きな酒だ、飲め!」
と、豪快に身体の上にお酒や飲料水を注ぐ方がいらっしゃいます。普通は棺の底面には防水シートが張ってあるので、少々の水分なら漏れることはありません。ただあまりに大量だと火葬するのによくありません。その場合はほどほどで止めていただきます。お気持ちは分かるのですが、何事にも“限度”があるのです。
 
ビールがお好きな方が亡くなって、お参りに来た友人が出棺で感極まってしまい、供えてあったビールを故人の口に直接ドバドバ注がれたことがありました。故人の口の周りは泡だらけ・・常温で置いてあったものだから、泡立ちも見事。まさにアワアワしていました。
いくらビールが好きだったとはいえ、ああ注がれてしまうと、さすがに飲みきれないでしょうね。
 
葬儀では様々な想いが交錯します。それは決して良い思い出ばかりでなくて、悔しさや恨み妬みなどもあるでしょう。話を伺うくらいなら、私どもがさせていただきます。
*友引毎に更新
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誰も書かなかった葬儀のお話 ・・『末期の水』編