<お花入れおじさん>という私の造語があります。
葬儀のお経が終わり、お棺のなかに思い出の品物やお花を入れて最後に出棺となるのですが、その<お花入れ>をやたらやりたがるおじさんを指します。
 
小さい子供がお花を入れたがるのはわかるのですが、お花入れおじさんにおいては、お盆の上に盛られたお花をごっそりと取っていかれます。下手をすると半分、いやほぼすべてをシャベルカーの如く持っていかれることもあります。
 
確かに用意したお花を残すことはしません。すべて棺に入れてもらうので間違いではないのですが、ある程度はほかの方の分まで残してもらいたいのです。
供花が何十基と出ていればお花の量もあるので、多少多く持っていかれても構わないのですが、供花の数もそれほどなく、それでいて<お花入れおじさん>に登場されると、お花の量がちょっとツライ・・
 
お花が好きなのか故人への想いなのかはわかりませんが、とにかくゴッソリ持っていかれます。お花入れおじさんがいるのがわかると、他のスタッフにはお盆を増やしてお別れ花を小分けにしてもらいます。
お花入れに費やす時間を増やすためです。
 
火葬までまだ時間がある場合、あまり早くに出棺しても火葬場で待たされてしまいます。その時はこのお花入れをゆっくりしていただいて(=つまり時間をかけて)調整するのですが、お花入れおじさんがいらっしゃるとその計算が狂ってしまいます。間が持たなくなってしまうのです。
間を持たせる方法としてあと幾つかありますが、お花入れで時間を調整するやり方が一番スマートですし、一般的なのです。
 
逆に<お花入れおじさん>がいて下さると助かることもあります。
開式が遅れたりお経が長引いたりして、急いで出棺をしなければならない時は、<お花入れおじさん>がいらっしゃると、お花入れが早く済むのです。
そうは言ってもあまり急かしてもご家族が可哀相だし、出来る限りゆったりした気持ちでお見送りはしたいものです。
 
火葬場に行ってしまうとゆっくり対面してお別れすることがほぼ出来ません。なので、こういうお別れの場を作って故人のお顔を見ていただくのは、私は良い機会だと思っています。
 
先日の葬儀ではは<お花入れおじさん>ならぬ、<お花入れお姉さん>が登場しました。20代前半くらいと思われる女性に、お盆のお花をゴッソリ持って行かれました。
低年齢化が進んでいるようです(笑)
 
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誰も書かなかった葬儀のお話・・ 『お花入れおじさんのこと』編