『納棺』
というのはお棺に故人を納めることです。
私はこの納棺を、ご家族と葬儀屋の距離を縮める大事な時間と捉えています。
 
仏教では、人は亡くなると7日×7回の合わせて四十九日間の修行の旅に出ると言われています。その旅の支度を、近親者で手伝うのが納棺の儀となります。
 
内容としては故人に足袋を履かせる、脚絆(=すね当て)を付ける、手甲(=手を保護する道具)を付ける、六文銭や数珠、杖などをお入れします。
生きている者は通常、髪や顔など上部から整えていきますが、故人の場合は“逆さ作法”といって足元から支度します。
道具にはそれぞれ紐があり、それをご家族には結んでいただきます。基本的に二人一組になってもらい、一人が手や足を持ち上げて、あとの一人が紐を結ぶ、という流れです。この場合、紐は蝶々むすびではなく、むすび切りで行ないます。解けると故人様は自分では結べないからです。
 
道具を付けたら身体の上に経帷子という白い衣装を掛けて、布団を被せて終了ですが、宗派や故人の意思によって旅支度を行わない場合もあります。また地域によってもやり方はいろいろあるようです。
その後、お布団の上に思い出のお品物やお花などを入れて出棺・・・となるのです。
 
納棺はご家族と葬儀屋が、同じ空間でかなり密接に近づくことになりますので、ご家族の想いが知れたり、思いもがけない話が聞けたりするので、葬儀を行う大事なヒントになります。
 
病院などに最初にお迎えに上がった時とこの納棺時が、私は葬儀の重要ポイントとして考えます。
*友引毎に更新
http://www.telomeregroup.com/Sales/rokumon.images/roku.pp.jpg
誰も書かなかった葬儀のお話・・『納棺』編