“火取り”
とは “かとり” と読んで、我々葬祭業者の専門用語・・いや、隠語?ですね笑。 「火葬許可証を取りに(申請に)いくこと」 を略して“火取り”です。同じ意味として「役所に行く」とも言います。 (使用例) 「では私はドライ取ってから火取りしてきます」 意味としては“ドライアイスを一つもらってきてから区役所へ行って火葬許可証を申請してきます”という感じです。 火取りは葬儀屋のとても大事な仕事。 火葬許可証がないと火葬ができない・・つまり葬儀ができません。 話に聞くだけですが、どこぞの格安葬儀社はこの火取りをお客様にさせることによって手間を減らし、料金を抑えるというのですが・・ お客様は葬儀には“素人”です。 万が一書類に不備があってその日までに火取りが済んでいなくて葬儀ができなかったらどうするのでしょう? 万が一取った火葬許可証を無くされたらどうするのでしょうか? 危ない危ない・・汗 あと “葬儀を自分でやる” みたいなサイトを見たことがありますが、まあ手間をかけています。危なっかしくてみていられない。 葬儀を出すなんて一生に数回もありませんでしょうから、専門業者に任せた方が圧倒的に楽です。そうでなくても葬儀は疲れるのです。 餅は餅屋。そば好きの素人が自分でそばを打つようなもの。自分で食べるのなら良いですが、40年間そば屋をやったうちの親父にそれを食べさせますかって話。 親父がそばを打つ時はその日の気温や湿度によって塩と水を加減していました。それも計量カップなんて使いません。指先と肌の感覚ですべてやっていました。それが最高に美味かった。 プロは負けないのです。プロは負けてはならない。 だからプロなのです。 どれだけそれについて考えてるのかって話。 私は年がら年中 『感動する葬儀』 を考えています。お通夜の間も、食事してても、トイレの中でもどうしたらお客様が感動するのか?常に考えます。 どうすると喜ばれるのかを模索しています。 それがちょこっとインターネットで調べた人に負けたらおかしいのです。 葬儀にかかるお金は5万や10万ではないのですから、それは考えます。考えて考え抜く。 こちらは何百何千件と手がけた葬儀の一つですが、お客様には一生に一度の葬儀なのです。それでも失敗はあるしご迷惑も何度もおかけしました。人間同士ですからウマもソリもあります。100%合うことはなかなか無い。でもそれを絶対に次の葬儀で生かす。考えて改善して行動して進歩する。進歩の無い人生は・・きっと虚しいはずです。 火取りをご自分でやって、どうぞ疲れて下さい。時間も少々かかりますよ。私は火取りの間でもこうして文章を打って考えています。 プロは負けたらいけないのです。
火取りのはなし