2018年の3月から4月は、私の葬儀屋人生でも特筆すべき期間でした。第二の母と言うべき方の葬儀に始まり、自分と同年代の方、年下の方の葬儀も連続して担当し、会葬者が数百人も見えた巨大葬儀も担当させていただきました。
 
葬儀屋でもっとも大事なのは、手際の良い葬儀をすることや綺麗な飾りをするよりも先に、ご家族から話を聞き、何を最優先されているかを感じ取ることだと気づかされました。
皆さん全員が全員「安い」を求めている訳でなく(確かに安いとありがたいですが)、「厳か」を欲しているかもしれません。お金かけても上質を求める方もいれば、賑やかに見送りたいという方もいます。そのニーズは決して一方向ではありません。
 
もしニーズというものがあるならば、安全で上質で「あなたのためにやっていますよ」という『スペシャル感』とでも言いましょうか。私は一般的なニーズを掴むのは辞めました。常識を捨てた、とも言えます。常識通りだと100点は取れるかもしれませんが、120点は絶対に取れません。120点取るのは大変ですが、それだけ考えたり動いたり、仕事としてはやり甲斐があります。(お客様の想像を超えたとき、120点が取れると信じています)
 
私が心がけるのは、それが自分の家族親類なら、親しい友人ならどういうお見送りをしたいか、この一点です。これで焦点がある程度絞られます。
ある方は服かもしれないし、ある方には趣味に標準を合わせないとかもしれない。音楽に焦点が当たる方もいれば、出棺のしかたが大事かもしれない。いままで通り一遍にやっていたことが通じなくなる訳です。
 
結局「ひと対ひと」です。ひとを想えるのもやはり、ひとなのです。挑んでみなければ、返ってくる答えもありません。最後は行動があるのみです。
 
葬儀屋も『想像力』の時代です。
 
“随処に主となれば、立処皆真なり”
(どこででもあんたはあんた。貫くのは難しいが、貫くことが人生だ)
〜臨済義玄の語録『臨済録』より〜
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誰も書かなかった葬儀のお話 『あらためて考える・・理想の葬儀』・・編